親愛なる母へ




飲み物が運ばれてきて、ウエイトレスが去るのを待ち、兵藤は口を開く。


「言葉が悪かったかな。無責任っていうのは違うよ。その逆」


落ち着いた赤のマニキュアの塗られた指が、コーヒーカップに伸びる。

兵藤は湯気を一吹きして、一口含む。

未央子も自身のアイスティーのストローに口をつけた。


「真面目で頭の良い子だったよ。おとなしいけど、芯があって。責任感が強くて、だからかな、ちょっと頑固なところもあった」


すると、兵藤は何かを思い出したように吹き出して、高校二年生の合唱コンクールの話をする。