未央子は立ったまま、緊張した面持ちで頭を下げる。
彼女は赤いルージュの引かれた唇でにっこりと笑って応え、ブランド物の使い込まれた長財布をテーブルの端に置く。
そしてウエイトレスにホットコーヒーを頼みながら椅子を引いて座り、未央子にも着席を促す。
彼女は、未央子の描くキャリアウーマンそのものだと思った。
高そうなスーツを着こなし、流行りを取り入れたメイクが良く似合っている。
派手だが決して下品ではなく、要所要所にセンスの良さがにじみ出ている。
もう40を越えるはずなのに、それよりはずっと若く見えた。
とても母親と重ねることはできそうにない。


