親愛なる母へ




未央子はいつもの調子を取り戻し、意地悪に笑ってみせる。


「やった!じゃあもう小山田いいよ。一葉の知り合いの方が上手そうだし」

「うわ、小山田かわいそう」


一葉は大げさに憐れむようにそう言って、次の瞬間、二人同時に笑い声を上げた。

そして中学生の頃に戻ったように他愛ない話に花を咲かせた後、未央子はすっきりとした気分で電話を切ることができた。

最初はただ自分の欲求を満たすためにバンドの誘いをしたが、一葉と話したことで、不思議と執着がなくなった。

来週、兵藤と会った後、間に合わなくてもライヴハウスには行こうと、未央子は心に決める。

一葉に会えば、それだけでエネルギーをもらえそうな気がした。

未央子は、触れたままだったギターのネックを握り直す。

そして丁寧に抱え、優しくコードを鳴らした。