親愛なる母へ




「くだらない男と付き合ってるからだよ。あいつ、俺の学部でも評判最悪だぜ」


さして興味も無さそうに言った彼の言葉に、未央子は目を丸くした。


「あいつのこと知って……」


言いかけて、気付く。

今あの男のことを言うということは、あの男と未央子が付き合っていたということも知っているということだ。


「あたしのこと、知ってるの?」


男は、当然とばかりに眉を持ち上げる。


「あんた、目立つからな」


未央子は思う、それはきっと、悪い意味だ。

派手な身なりをして、評判の悪い軽い男と付き合う女なんて、目立つに決まっている。