親愛なる母へ




しかしその日というのが、未央子が兵藤と会う約束をした日なのだ。


「まあ、一応場所は聞いとく。用事が早く終わったら行けるかもしれないから」


言いながら起き上り、未央子は手帳を広げる。

ライヴハウスの名前と住所を書き留めると、ふいに旧友の顔が浮かんだ。

生意気な表情でにやりと笑いかけてくる。

未央子はため息混じりに、一葉に問う。


「まさか小山田はメンバーじゃないよね?」

「うん、私もしばらく会ってない」


それを聞いて、未央子は安堵する。

自分だけ除け者にされるのは気分が悪い。