親愛なる母へ




「ああ、言ってなかったっけ。俺、教師目指してんの。一次試験はこないだ合格した」


亮はさらりと言う。

一方、未央子は目を丸くして声を上げる。


「え!亮が先生!?」

「なんだよ、そのリアクション」


意外だ、と思ったが、しかしよく考えると、亮には向いているかもしれない。

未央子は亮をまじまじと見つめ、亮が教鞭を取る姿を想像する。


「亮先生っ」

「おい、馬鹿にしてるな」


亮は未央子の頭を軽く小突く。

未央子はそれから逃げるように駆け出し、少し離れて振り返る。


「へへ。いいと思う、亮が先生って」


しかし亮は納得のいかない顔をする。

馬鹿にされている気がしてならない。