雲の多い空の下、湿り気を帯びた風の音に、何か他の音が混じって聞こえてくる。 亮は土を蹴る足はそのままに、辺りに視線を流す。 すると、グラウンドを囲うフェンスの向こうに、眩しい金色を捉えた。 「亮ー!兵藤さんから電話来たー!」 未央子は亮を待ち切れず、興奮した様子で声を上げる。 「おー!よかったなー!」 亮も大声で応えるが、なんだかそのやりとりがおかしくて笑ってしまう。 グラウンドを突っ切って、未央子のもとへ向かった。