「じゃあ、またね」 彼女を病棟へ送り届け、外出の記録簿にサインをした後、あの鍵のついたドアの前で、彼女に手を振った。 看護師によって施錠される音を聞くと、亮は彼女との間にどうしようもない壁があるのだと思い知らされる。 自分の手で彼女をここから永遠に連れ出してあげることができたら、どんなに良いだろう。 しかしそれはどうしても叶わない。 彼女と会った帰りにいつも感じる胸の重みを少しでも和らげようと、亮は長く息を吐いた。