梨乃はなにかわからない気持ちでいっぱいになった。
たとえ、愛美が創汰を働いているところを偶然みたからという理由でも
創汰が、バイトしていることを自分に言ってくれなかったことが
悔しく、悲しくなった。
「だから、梨乃ちゃんも秘密にしてね?」
「うん、わかったよ!」
梨乃はそのときの精一杯の笑顔で笑った。
「それにしてもあたしビックリした!創汰が自分からルールやぶるなんて思わなかったもん!」
「あ、そっか…私たち本当はアルバイトとか禁止だったっけ!」
桜ノ宮高校吹奏楽部は、練習が忙しく私立の高校でたいして頭のいい学校ではなかったけれども高校生には学業はがんばらなければいけないものなので
両立はできるかもしれないが三つすべてを成功させるなんて難しいという理由で
アルバイトは禁止されていたのであった。
