「……」 コクン、とうなずくと 飛鳥はニコッと笑ってあたしの 手を握った。 普通の恋人同士ならいつも やってるコトだけど… あたしは妙にドキドキしてしまった。 飛鳥ははじめてじゃないくせに。 あたし以外の人を抱いたことがあるくせに。 その大きな手で触って、 その真っ黒な瞳でみつめて、 その少しかすれた声で呼んで… あたしじゃない人を。 そう思うと、どうしようもなく 哀しくなった。 「…ナ?ユナ?着いたよ」 「え」 考え事をしていたら、 いつの間にか飛鳥の家。 「どーぞ」