「此処が日本か。」 船を降りると、着物を纏った日本人が生き生きとしていた。 スペインでは、雅が着物を纏っていて目立っていたものの、此処日本では、立場が逆転し、スーツを纏っている煉が目立っていた。 『どうした?お前も着るか?』 そう嘲笑うと雅は、着物が並ぶ店のかまわぬ模様の着物を指差した。 煉は、込み上げてくる熱を押さえ込みながらも、雅を怒鳴り付けた。 「着るか!ボケ!!」 チッと舌打ちしながら、視線をずらす。