『三ヶ月前、俺がこれまで調べられた情報は…』
「お前、未だに一人称俺なんだな。」
呆れながら雅の話しを遮る煉。
『うるせェ、黙って聞いてろ。
その奇怪現象の内容はこうだ。
まず第一の被害者は、一人で夜道を歩いていたらしい。
そして、そいつは突然…
灰になって消えたらしい。』
「ハ?」
煉は鳩が豆鉄砲を食らった顔をした。
雅は変わらず話し続ける。
『服を残して人間だけが灰となって消えた。
それは連続でおき、今では白昼堂々とおきるようになったんだ。』
雅の顔に動揺は、ない。
「……」
煉と雅の目には、ひとつの確信があった。
「アイツ等か…」
『嗚呼…恐らくな。』
雅が言い終わるか終わらないかのところでコトン…、と酒瓶を置いた
「タブーを犯した罪人…
"Curse moons"」
煉がその名を口にした瞬間。
ガタン!―ガタッ!ガタンッ!
ザァァァァァ‥……―――
《!?》
バーに居たマスターと客達が灰となって次々と消え去って行く。
ガチャン‥…――
『――ッ!!煉!伏せろ!!!』
叫ぶ雅の声に答え、俊敏な動きでカウンターの下に隠れる煉の動きは、長年の修行の重みを物語っていた。そして次の瞬間。
―ドドドドドド!!!!―
天上からの、激しい銃声。
「チィッ――何体だ?!」
煉の問に、雅は一瞬眉を潜め瞳を閉じる。そして、早々と答える。
『壱‥四…六、……十六だ!!』
ダンッ!
と、床を蹴り。
カチャ…
と、煉は銃を構え、壊れ果てた天上に向かい…
十六発の弾丸を、銃口から発した。
ドサッ…ドサ‥ドサッ…
ボロ雑巾のように落ちてきたのは、十六の霊だった。
