『だから昨日連絡しただろ。』



呆れ顔で云えば、即答してくる煉。



「いや、マジだとは思わなかった。」



信用や信頼が感じられないその答えに、雅は眉を潜めた。



『しばくぞ…』



どす黒いオーラを出し、後ろに鬼が出かけている雅を余所に、煉は話を戻し始めた。



「で、街から出られねェっつーことは分かった。問題はその奇怪現象に何等かの関係があるか…」



瞬間的に空気が張り詰める。
深刻な表情になる煉とは裏腹に、雅は変わらず酒を飲みつまみを食っていた。



『モグモグ、あふあろ。ゴクン、多分な。グビグビ!』



呆れた顔で見つめる煉は、雅を見、思わず溜め息をついた。



「食いながら喋んな、しかもお前ェ、未成年だろォが。」



そういう煉を無視し、次々と酒を飲み干していく。
確かに雅は未成年者だ。
年のわりには妖艶で、かつ幼さも微かに残っている。
それは、雅のひとつひとつの仕草からも、見て取れた。



『いいんだよ。俺宇宙人だから。』



「意味分かんねェよ。大体真っ昼間から酔っ払ってんじゃねェよ。馬鹿が。」



酔ってきたのか、雅が少しばかり陽気になっている。
そしてさりげなく雅を貶す煉。



「そういえば、その奇怪現象っていったいどんなんなんだ?」



思い出したと言わんばかりに、質問を投げ掛ける煉。


『嗚呼、お前には言ってなかったか。』



その次に一瞬の沈黙があったものの、次の瞬間には雅は真剣な表情に変わっていた。