「姫、ここにいたのか」


後ろから王の声がした。


声を聴くだけでドキドキする。

艶のある声。


「玲様、どうかしましたか?」


「君に会いたくてね」

そう言って優しく私を包み込む。


びくっと反応してしまう私。


「怖がらなくていいんだよ。私は貴女を大切にしたい」


いきなりの行動に、言葉に、私は固まってしまう。


「初めて会った時から、ずっと君のことだけを考えていた」


え……?


「また会えるなんて夢のようだよ」


どういうこと?

沙耶姫は王様には会ったことないって…。


私は何も言えなくなってしまった。