「ええ、とても」
私は笑顔を崩さない。
その態度にイラ立ちを隠せないのか、
「あまりつけ上がらないことね。こんなの、ただの王の気まぐれよ」
「すぐ飽きるわ」
「とっととお国に帰ったら?」
と言って、あはははは、と笑い声を響かせながら去っていく。
むかつくわぁ…。
でも、確かになぜ王は彼女を選んだのかしら。
今までに現王の浮いた話なんて聞いたことないわ。
現王は姿を現さないし、すべてが謎に包まれていた。
だから国民の私でさえ顔も年齢も知らなかった。
『縁談はいきなり向こうから持ちかけてきた。気に入られてることは確かだろう』
王から申し込むなんて異例だわ。
差し出してもいない娘と結婚だなんて。