「ねぇ、聞きまして?王の相手は隣の姫ですって!」

「えーっ!もしかしてあのワガママ娘?」

「それなら私たちの方が王に似合いますのに!!」

「隣って言ったら、権力のない弱小国でしょう?」

「どうやって取り入ったのかしら…」


朝からずっとこの調子の貴族の娘たち。

聞こえてるっつの。

あ、わざと聞こえるように言ってるのか。


沙耶姫のことを悪く言うなんて、腹が立つ。

確かにあの子は我が強いわよ。

でもそれは正しいと思ったことを貫こうとする強い心を持っているという意味。


僻む暇あるなら王様に見合う努力でもしなよ。


「おはようございます」

私はにっこりと彼女たちに微笑む。


「……おはようございます。昨日はよく眠れまして?」

にこりともせずに無表情で質問する。

「とても素敵な寝室だったでしょう?まぁあなたにはボロ屋敷の方がお似合いだけどね」


くすくすと笑う女たち。