To:妃彩


何時でも声聴かせろ



氷雨







初めてなった電子音。

ピロピロっと
着信を告げたその音を確認して
最初のメールを開いた妃彩は
嬉しそうに笑った。



「えっと
 ……返信……」



アタフタするアイツの仕草が可愛くて、
もう暫く放置していたかったのに、
すかさず後ろに控えていた黒服野郎が
妃彩の隣に歩み出て、
携帯の使い方教えてやがる。


手慣れない手つきで、
ぎこちなく動かした指先。


送信ボタンを押したのか、
ほっとしたような笑みが零れ落ちる。



手の中の携帯ランプが点灯して
着信を告げる。







To:氷雨くん



ありがとう。

大好きvv



妃彩









そんなメールを見届けながら、
心の中で毒づく。




だから、
お前はストレートすぎんだよ。




初めての携帯体験が終わった後、
オレは思い切って、
朔良さんに外出許可が貰えないか訪ねてみた。



早々に許可が下りたオレは、
初めての妃彩とのデートに踏み出す。


準備をするから。


そう言って追い出された部屋。

その部屋の中、
今井だけは入室を許されてる。



おのれ、黒服野郎。


なんて思いながら、
ドアの前でイライラしているオレを見ながら
朔良さんは楽しそうにクスクス笑ってやがった。