「おはよう。妃彩ちゃん」



朝、目覚めと共に
私に声をかけるのは、
介護施設のお姉さん。



「おはよう」


施設のお姉さんに声をかけながら、
いつもの日課である、
壁のカレンダーを見つめる。



8月2日。



施設で過ごす、
変わることのない時間。

そんな時間とサヨナラしたくて
ずっとカレンダーに
×印をつけつづけてた。



カレンダーに大きくマジックで×をつけられた
隣の数字。


8月2日には、
私にしかわからない
忘れることのできない日。



私、春宮妃彩
(はるみや ひめあ)。