「ったく。
ガキだと思ってた氷雨も、
いつの間にか俺の背中を追いかけやがって。
ただ危険だぞ。
だが事情がわかった以上、
俺もお前を一人で帰すわけにはいかない。
はぐれるなよ」
親父と二人、同じ方向を見据えて、
物陰から、物陰へと移動していく。
「親父、アイツ誰だろ」
オレが目撃したソイツに近づいてくる
スーツ姿のもう一人の男。
ソイツの姿を確認した途端、
親父が、怒りに任せるように
静かに握り拳を震わせた。
「親父……知り合いか……」
「氷雨、俺はあの現場を現行犯で押さえる。
お前が見た奴の隣には居るのは、
同僚の刑事だよ。
仲西徳志(なかにし とくし)。
お前はその取引現場を携帯に収めて
米田(よねだ)の親父さんを訪ねてくれ」
震えそうになる手で、
携帯の電源を入れてその状況を撮影する。
「行けっ、氷雨。
他の警察官ではなく、
必ず、米田の親父さんに」
父さんはそのままオレの背中を反対側に押し出して
取引現場の方へと向かっていく。
鳴り響く銃声。
「親父っ!!」
溜まらなくなって、
振り返って叫ぶオレ。
「行けっ!!
俺に構うな」
そうやって
怒鳴り返す親父の体に
何度も打ち込まれる拳。



