配られていくグラスに、
ワインかシャンパンにも似た飲み物。
「氷雨……お酒?」
「何?
お前、お酒が良かった?
お酒飲むなら、二人だけの時にな。
今日は生憎の、色だけお酒。
ただの炭酸ジュースだよ」
そうやって悪戯に微笑む。
「妃彩、紹介する。
オレの大切な仲間(ダチ)。
紅蓮に名を連ねてる奴らだ。
お前らも、覚えておいてくれ。
コイツは、春宮妃彩。
車椅子に乗ってるが、天然なのに気が強い。
オレの女だよ」
氷雨のお友達の前で、オレの女だって言われて、
それだけで心臓の音がバクバク言い過ぎて
顔が真っ赤になってく気がする。
「おいおいっ。
だから言ってんだろ。
これはジュースで
アルコール入ってねぇんだって。
顔赤くしてじゃねえって」
そうやって、照れくさそうに
私を弄る氷雨も珍しくて。
私の中の宝物が
また増えていく素敵な時間だった。
紅蓮の皆と、トランプで遊んだり、
大騒ぎした夜、今井さんが運転する車の中で、
氷雨はもう一度呟く。
「明日も逢いに行く。
今日は悪かったな。
アイツラがお前に逢わせろって
煩かったから」
私に逢わせろって言ってくれた
紅蓮の皆。
そして紅蓮の皆に、私をはっきりと
紹介してくれた氷雨。
やっぱり氷雨は凄いね。
いつもキラキラ輝いてる。
宝石みたいで。
私は……夏のあの日。
水晶の少年を
初めて好きになった。



