水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」 



オレが取引現場を目撃して、
一月以上。


調べるのに時間がかかりすぎて、
慎重になりすぎて、動けなかったから
悠美さんは死んだかもしれない。


もっとオレが前面に動いて、
早期解決へと動くことが出来てたら。


葬儀の間も、自分を責めるような感情が
幾度となく押し寄せてきた。


沈黙が広がるエスカルゴ館内。


オレは携帯を取り出して、
朔良さんのナンバーを呼び出した。






「もしもし」

「朔良さん……。
 後を頼みます」




ただその一言だけを告げて、
電話を切ると、
妃彩の写真を表示させた。



コイツの笑顔も守りてぇから。





机にあるパソコンを引き寄せて、
その場で『ナイトメア』の事件に関する
情報の全てに再度目を通す。




こんなにも犠牲になった奴がいるのに、
親父ら警察は、手をこまねいてる。




全てを公表することないままに。





憧れと夢が、
オレの中で崩壊していく。





ノーパソをそのままゆっくりと閉じると、
オレは覚悟を決めたようにソファ-から立ち上がった。




「氷雨さん」

「氷雨」


立ち上がったオレに声をかけるのは、
優と有政。


二人もオレに続くように、
立ち上がる。


有政の腕の中には、
包まれるように過ごす南緒も
オレをじっと見つめる。