「亜莉っ!」
入学式の日、2つ上の幼なじみの蓮くんがわたしに話しかけて来た。
「蓮くん、久しぶり!」
「久しぶりだな、元気だったか?」
「うん!」
わたしと蓮くんが話していると、蓮くんの後ろから聞こえた声。
「蓮ー、その可愛い子誰?」
茶色い髪。マスクをしててよく顔が見えない。けど、とても素敵な声。
「おー海斗!これ、俺の幼なじみ!」
「へー、名前なんてゆーの?」
その人はわたしの目線に合わせて聞いてきた。
「高橋 亜莉です…」
「亜莉ちゃんな、わかった。覚えとくからな?」
そう言ってわたしの頭をポンポン撫でてどこかへ行ってしまった。
「あれ俺の親友。ただちょっと遊び人でな。いい奴なんだけどね?」
蓮くんは少し苦笑いをして言った。
「遊ばれないようにな?」
そう言い残すと蓮くんもどこかへ行ってしまった。
あの人の名前は海斗、海斗先輩。
すごくかっこよかった。
わたしは海斗先輩に一目惚れしてしまった。蓮くんは遊ばれないようにって言ってたけど、あの人になら遊ばれてもいい。
そう思ってしまうほどだった。
