「あら~ 紅緒ちゃんはれっきとしたニューハーフよ~」

美里ママがでれーっとした笑顔で紅緒さんを見る。

久我さんを挟んで座っている紅緒さんを私は身を乗り出して見る。

誰かに似ているんだけどな……。

「ほらほらぁ~ お腹が満たされたら、のみましょぉ~~~~」

2杯目の水割りを差し出されて口付ける。

水割りって、あまり好きじゃないんだよね。
それよりワインかカクテルがいいな。

周りを見ても水割りを飲んでいるテーブルばかり。

う~ん……。

美里ママや明菜さん、その他のおネエ様方はおしゃべり好きなんだけど、紅緒さんはほとんど話さない。
このお店の異色キャラ。
まあ、一番の美人さんだから、きっといるだけでいいんだよね。

しかし誰かに似ているんだけど……女優さんかなぁ……。

「あら~? みうみちゃん、飲んでいないじゃなぁい? ぐっとぐっとお飲みなさいな」

私の水割りのグラスを美里ママは持って、押し付けてくる。

それほどお酒に強くないから、これ一杯飲んだら、酔っちゃいそうなんだけどな……。