白いソファに座らされても、私の目は案内の女性……いや、ニューハーフに目が釘付け。

「あら~ どうしたのかしらぁ?」

長いつけまつげをばちばちさせて、聞いてくる。

この方……美しいニューハーフというより、ごっつい熟女。

「すご~い! 美里さんって、テレビに出てますよね?」

菊池さんが身を乗り出さんばかりに聞いている。

そんなに有名なニューハーフさん?

「いやだわ~ 知ってるのぉ~? うふふ。時々ねぇ~ 美里ママって呼んでねぇ。お飲物は水割りでいいかしらぁ?」

えっ? 水割り? お腹が空いているんですけど……。

ふたりは水割りを注文している。

「あのっ! お食事メニューはありますか?」

美里さんが近くを歩くニューハーフさんを呼び止め、水割りを頼んでいる所をさえぎって聞いてみる。

「あらっ、この子ったら子供みたいなこと言うわね。本当に成人しているのかしら?」

私の顔をじっと覗き込むようにしてみる。