あたしの体は簡単に如月さんに起こされた。


「ほら、やっぱり泣いている」


あたしの顔を覗き込んで、あたしの涙を拭ってくれた。


「どうした、やっぱり怖かったか?」


首を思いっきり横に振る。


「じゃあどうした?」


「あたし、如月さんの邪魔した。

如月さんの為に何も出来ない子」


ベットの端に腰を下ろし頭を撫でながらゆっくり話し始めた如月さん。


「アズは何も邪魔していないよ。それに俺はアズは何も出来ない子だなんて思っていないから、そんな事気にしなくていいから」


ここで一旦止めてまた話し始めた。



「アズは聞いたんだろ?恵子さんから、俺の事を」


「……はい、聞きました」


「それでだろ…アズがさっき、『歩いて帰る』って言ったのは?」


「はい…」



もうこの人に隠し事は通じないだろうと思ったあたしは包み隠さず話した。


如月さんの過去について。

あたしの想いも。



「あたしじゃダメですか?あたしじゃ、如月さんに『家族』を教えてあげられませんか?」


「アズ…」


「あたしが暗いのが克服出来たら如月さんに近づけるんですか?」



伝えたい。

伝えたい、この想い。


あたしが如月さんの闇を照らしてあげたい。

家族を知らない如月さんに家族を教えたい。



如月さんに少しでも近づければ、これらの事はできますか?