あたしの歩調に合わせゆっくり歩きながら帰ってきた。



「アズ、ちょっといいか？」


「………はい」



あたしは家に着いた途端如月さんに呼ばれた。

如月さんの後についついき、ソファーに座った如月さんの隣にあたしも座った。



「アズには今、俺がいる。前は1人だったけど今は俺がいる事を忘れないでいてほしい」


あたしが座るなりゆっくりとした口調で話し始めた。



「アズは俺じゃ頼りないか？」


「そんな事無いです」


「だったら…いつでも頼ってくれていいんだから。
それに、我が儘だって言っていいから。


何でも言ってくれよ」


あたしは如月さんの言葉にしっかり耳を傾ける。


「1人で抱え込むな」


如月さんはあたしをさっきより強く抱き締めた。

そしてあたしの耳元で小さく呟くような小さな声で言った。


「頼むから…」


そしてまた一段と強く抱き締められる。


普段の如月さんからは全然想像できないくらい弱々しい声だった。


あたしはこの人を不安にさせてしまったんだ…