あたしのお陰?


あたしはただ毎日如月さんと一緒に生活しているだけ。


それだけの事なのにどうして如月さんが変わったのかは、

分からない。



「如月君はたぶん梓ちゃんと居ることで『家族』を知り始めたんだと思う。

たぶん親戚の家に全然馴染めなかったんじゃないかな?

だから家族の暖かさや大切さを知らないで育ったのかもしれない」



あたしの両親は忙しく一緒に過ごした記憶がほとんどない。


けど休みがとれた時はあたしと一緒に居てくれる。

一緒に遊んでくれる。


だからあたしは家族の暖かさも大切さも知っている。



それを知らない如月さん。



「これからは梓ちゃんが如月君に『家族』を教えてあげて」


「………はい」




この時あたしは如月さんの持っている闇を照らしたいと思った。


けど如月さんの闇はあたしが思っているよりもっと深く、大きいものだった。