静かに響いた如月さんの声。



「ありがとうござ………」


「なんて言う訳無いだろっ。

このあほっ!!」


「どうしてですか?」


「そんな理由じゃ納得出来ない」



だったらこれを言うしかないの?

言いたくないけど“これ”を言わないと納得してくれない?



「如月さんが邪魔なんです。

迷惑なんです」



これで納得してくれた?


本当は迷惑だなんて、邪魔だなんて…

思ってないから。



「アズ、俺の顔を見て言って。

俯かずに…」


あたしは顔をあげようと思うけど、あげられない。


如月さんの顔を見たら絶対に溢れてしまうから。


「アズ、さっきの言葉もう1度言ってごらん」


そんなに優しく話しかけないで。


腕は掴まれたまま。



けどゆっくり如月さんの手があたしの腕から放れて両手であたしの頬を包み、覗き込んできた。


気付かなかったが如月さんはあたしの目の前に立っていた。


「アズ、もう1回言って」


あたしは如月さんから目を反らすことが出来ない。


「梓―――…」


もう無理だよ。