「はい、これどうぞ。この間お隣さんから貰った紅茶なんです」



食べた食器を片付けてあたしは如月さんと自分の分の紅茶を淹れ、如月さんの隣に座った。


リビングには紅茶の優しい香りが広がっている。



「あたしが暗いのが怖いと思ったのは…」





はっきり覚えているわけではないが…


あたしは幼い頃、誘拐された。


その時、閉じ込められたいた場所が真っ暗だった。


窓もなく、光なんて全く入ってこない場所。


閉じ込められていたのはたった数時間だった。


けど幼いあたしには何日も閉じ込められていた感覚だったはず。


――――…


今までのは少し大きくなってからお母さんに教わった事。


あたしが本当に覚えている事は…



「暗くて怖かった。

光とか、何も無かった」



思い出すだけで体中が震えてくる。


たまにみる真っ暗の中にあたし1人がいる夢。


たぶんそれは誘拐の時のトラウマ。




「アズ、ごめんな」