「アズ、お前いくつ?」



新聞から目を離さず突然聞かれた。



「16歳です」


「ふぅ〜ん…」



あれっ?

今あたしの事『アズ』って呼んだ?



自分の耳を疑ってしまう。




「如月さん…今、あたしの事何て呼びました?」


「ん、『アズ』って言ったけど?間違ってた」



如月さんがあたしの名前を知っていていてくれた。


あたしを『アズ』って呼んでくれた。


緩みそうな口元をキュッときつく引き締めて



「ありがとうごさいます」



と言った。



「はっ?なんで『ありがとうごさいます』何だ?」


「ただ何となくです」




名前を知っていてくれた事が、

呼んでくれた事が


嬉しかった。




「お前も俺の名前、呼ぶようになったじゃん」



言われてみればそうだ。


今まで名前で呼ばなかったのは如月さんにムカついていただけで…


今はムカつくというより如月さんともっと仲良くなりたいと思う。