「ちょっと中を見てきてちょうだい」



ドアを開け背中をグイグイ押してあたしを中に入れた。


「ちゃんと仲直りしなさいよ」


恵子さんがなんだか意味ありげに笑ってドアを閉めた。



少し薄暗いチャペル内。


あたしは少しだけ恐怖心を抱きながら進んだ。



―――――1人の男の人を目指して…


後ろ姿だけで誰だか分かる。



あたしって重症だな…

こんな時、会いたくない。



「アズ…悪いなこんなとこに来てもらって」


「藤…」



会いたくない。

声も聞きたくない。


あたしの体は自然とドアの方へ向かう。


「待てっ!!アズ」


チャペル内イッパイに藤の声が響いた。


その声の大きさに、あたしは驚き動きを止めてしまった。



後ろから感じる藤の気配。




もう逃げようにもどこへも




逃げられない。