次の日

あたしは目覚まし時計によって起きた。


いつもは藤と一緒に起きる時間。



けど今日は起きない。


―――――起きたくない。



ガチャッと、隣の部屋のドアが開く音が聞こえた。

藤が起きたんだ!


あたしは昨日、藤がいつ部屋に戻ったのは知らない。

最後に聞いた藤の声はとても弱々しく、震えていた。




『俺の話を聞いてくれよ…』




藤は1度あたしの部屋の前で止まった。

けど何も言わずに階段を降りていく足音が聞こえる。



藤とあたしが顔を会わすことはない。


あたしはそのままもう1度眠ろうと思ったが…

思うように寝付けない。


布団の上でずっとゴロゴロしていた。


どれくらいゴロゴロしていたかはわからないが、


コンコンッ――――…


部屋をノックする音が響いた。


この部屋をノックするのは1人しかいない。



藤だ!