「全く…
アズはよく泣くな。

泣くなら俺の前だけにしてくれ」


「なんで?」


「アズの涙を拭うのは俺の仕事だから」



『アズの涙を拭うのは俺の仕事だから』


藤からは想像しがたい言葉が発せられ
あたしはついつい吹き出した。


「プッ…
似合わないよ」


「何だと!
折角俺が言ってやったのに」



伝わっているよ。


藤があたしを想ってくれている事。



「藤

…………大好き」


「知ってる」



『好き』だなんて言ってくれない。

けどあたしはそれでもいい。



藤が笑っていてくれるなら

藤の隣にいられるなら…



「藤は何を話したの?」


「はっ?何を…」


「さっきだよー!みんなに何を話したの?」


「ったく話が飛ぶな」と苦笑いぎみだったけど…

そっと顔をあたしの耳に近づいてきて…