藤はあたしを強く抱き締め「よかった、よかった」と言っている。



「藤…荷物」


「アズが、残ってくれて…

よかった」


声が震えている。

もしかして藤はあたしが残る事を喜んでいるの?

あんなにあたしの海外行きを押していたのに…



「ゴメンな…あんなに海外行きを押して…

俺と時間より、家族と過ごす時間を大切にして欲しかったんだ。


ゴメンな」



どうして…どうして藤はそんなに優しいの?

あたしは自分の事しか考えていなかったのに…


「あたしね、藤と一緒にいられる事になって嬉しいよ。
藤があたしを1番に考えてくれるとこ…


好きだよ」


「ん、ありがとう梓…


つか、お前も喜べよっ」


「喜んでいるよー」



腕が緩みが藤と目が合った。

あたし達の距離が自然と短くなりキスをした。


「よしっ荷物運ぶか」


「うん♪」