「あの時の藤君はとても寂しそうな顔をしていてね…

ついつい“アズと似ている”と思って声を掛けたの。


“バイトしてみない?”って。


最初は私も簡単に話を振ったんだけど藤君が“やる”と真剣に答えてきてね…

バイトで藤君を雇ったの。

最初は厨房で皿洗いとかやっていてもらったんだけど…高校3年生になってからかな…?

なんとなくコンシェルジュの仕事をしてもらったの。

そうしたらとっても似合っていて休みの日だけロビーに出て働いてもらっていたんだけど…少し気になる所があって…」


ここにきてお母さんが少し話を止めた。

何か迷っているみたいだった。


その頃の藤に何があったのかな?


それより…

『あたしと似ている』って…

どういう意味?


あたしが寂しそうだって事かな?



「どうぞ話してください。今は変わったので、気にしないで下さい」


藤のその言葉を聞き、お母さんは再び話始めた。