藤は初めて自分の事が社内で噂されていると聞いて驚いている。



「どんな“噂”なんですか?」


「変な話じゃないから気にしないで。

確か…最近はよく笑うとか言っていたかな」


「よく、笑うですか…」



『藤君は最近よく笑うようになったの』

『梓ちゃんといて如月君は変わり始めている』


前の時、恵子さんに言われたのを思い出す。



「藤君が自分を“俺”と言っているときは驚いたわ」


「急いでいたので…すいません」


「いいのよ。

藤君もアズといて変わったんじゃない?」


「そうですかね…?」



「笑う…」


あたしはボソッと言った。


あたしの声が聞こえたのかみんなあたしを見た。


「前の時言われた。
作った笑顔じゃなくて、自然に笑うようになったって」