「あーあ、藤君のせいでアズが拗ねちゃったわよ。

“彼女”の手料理を“彼氏”が誉めないでどうするのよ」


「そうだよ、藤君。アズの機嫌を直すの頑張ってくれよ」


「…………はい」



………………『彼女』の手料理を『彼氏』が誉めないでどうするのよ。



『彼女』『彼氏』


「「えぇっ!?」」



たぶんこの時あたしと藤は同じ事を思っている。



「お母さん“彼氏”“彼女”ってどういう事?」


「どういうって…そのままでしょ」



お母さん、お母さん。

そのままでしょって言われてもそのままだけど…


どうしてあたしと藤が付き合っている事を知っているのかが問題。


だってあたしと藤の関係はまだ両親には報告していない。



「あの、誰から僕たちの事を…」


「誰からも聞いていないわよ。ただ朝から“あんな物”を見せられたら誰でも分かるわよ」