結局、一口も飲まなかった飲み物…

氷が小さくなっていた。



あたしと藤の手はずっと繋がれたまま。


先に口を開いたのは藤。



「アズ…ちょっとまたついてきてくれるか?」


「うん」


「ありがと」と言ってくしゃっと頭を撫でてくれた。


飲み物を飲んだ後、あたしはまた藤についていった。


さっきと違うのは手を繋いでいるという事…



『コンシェルジュルーム』



前にも藤に連れてきてもらった場所。


どうして藤があたしをここに呼んだのか分からない。



「アズ…俺が言った事聞いていた?」


「聞いていた」


「アズに好きなやつが出来たなら俺は身を引く。

だからもう1回、アズの気持ち聞かせて」



何となく…

藤がどうしてここに連れてきてくれたのか分かった。


今はみんな仕事中だから人が来ないんだよね…


だからあたしたち2人きり。