『彼女なんだから藤の両親の墓参りに行くのは当然』



朱音さん…それは違うよ。


間違っている。



「朱音さん…


彼女だからって、その考え方は間違っています」



ついつい口を挟んでしまった。


あたしはまだ子供で社会の事など全然分からない。


だけどいい事と悪い事の区別はつく。



「藤の彼女なら、もっと藤の事を考えてあげるのが彼女なはずです。

藤は家族と過ごした時間が少ないから…だから…」


「もういいよ」藤がそう言って止めてくれた。


途中から自分が何を伝えたいのか分からなくなってきてしまった。


あたしは藤のプライベートに勝手に入り込んではいけないと思う。



「朱音さん…こいつが言いたい事がわかりますか?

アズは辛い思いをしていた時があるから俺の気持ちがわかるみたいで“絶対”に俺の中に自分から入ってこようとはしません。
どちらかと言うと1人で抱えてしまう方です。

それで俺の為に努力してくれる。
見えない所で頑張るんです」