ソファーの上で寝ている人…


「『出ていって』って言ったのに…」


あたしはゆっくりソファーへ近づいた。


「何も掛けないで…」


あたしは部屋に戻り掛けるものを取りに行こうとした。


「待てっ」


腕を掴まれた。


「放して」


「ダメ。俺が昨日の理由で納得すると思っているの?」


「放してよ…」



必死に手を振りほどこうとするが、あたしが男の人の力に敵うわけがない。


「アズッ」


思いっきり引っ張られてあたしはソファーの上に…

そしてあたしに覆い被さるようにいる藤。


「なぁ、俺の事もう嫌いなのか?」



嫌いなわけが無い。

好きで好きで、本当は家にずっと居て欲しい。



「なあ、アズ…」


そう言って降ってきた、

深いキス。



抵抗しなきゃいけないのに…

「嫌だ」って言わなきゃいけないのに…




出来ないあたしがいる。