「あれぇ~?
体、カチコチですよ」


「う、うるさい」


ニヤって笑って、こいつーーー。
絶対にあたしの事ばかにしている。


「は、放してください」


ヤバいヤバいヤバい……

腕や足をバタつかせても、逃げられない。


挙げ句のはてに……


「“キス”……してやろうか?」


はぁ、こいつ何言っているの?
キスは好きな人とするものじゃん。
どうして、会って数時間の最悪な男としなきゃいけないの!?


そんなあたしの考えは無視して、如月さんはゆっくり顔を近づけてくる。


降ってくる唇……
あたしはギュッと強く目を瞑った。


けど降ってきたのは唇ではなく……


「イタッ」


如月さんの指があたしの額を突っついた。


「だーれがお前のような“お子様”にキスなんかするかよ。
お前みたいなやつはどうせキスは“好きな人とする”タイプだろ?
ファーストキスだってまだみたいだし……
まっ、ファーストキスまでとっておけ」


そういって如月さんはあたしから離れていった……
と思ったら突然、振り返った!!


「あっ俺の名前知っているよな?
“如月 藤”だから、ちゃんと名前で呼べよ。

後、イヤだったら本気で抵抗しろよ?
襲われたって知らねぇぞ」


如月 藤


口が悪い
優しくない
寝起きが悪い

全然いい人じゃない!