ベットの端に腰を下ろした藤。

そしてあたしの体を起こし、膝の上に座らせ後ろから抱き締めてくれた。



「何かあったんだろ?」


「………」


「朱音さん、だろ?」



藤の顔は見えない。


けど抱き締めている腕から伝わってくる。
あたしを心配してくれていることが。



「『朱音さん』は昔俺と付き合っていた人なんだ。

朱音さんから『付き合ってくれ』って言われて、最初は断っていたけど…何度も何度も言ってくるから俺も諦めて付き合う事にしたんだ」



自分が藤の最初の『彼女』だなんて思っていなかった。

藤はあたしよりも年上だからそれなりの付き合いはあったはず。

だから過去には執着しない事にしていた。



けど実際に元カノ会うと気持ちは複雑だ。



「朱音さんとはどれ位付き合っていたの?」


「ん〜2年位だったかな…」



2年。

あたしは藤と付き合い始めてまだ日が浅い。



「朱音さんの事は、好きだったの?」