「純、悪いけど飯頼んでいいか?」


「了解!アズちゃんの分はどうする?」


「一応、作っておいてくれるか?」


「じゃあ出来たら呼ぶわ」


「サンキュー」



耳に聞こえる藤と夏川さんの会話。


あたしの体は誰かの背中の上にいるみたい。


大きな背中。

たぶん藤かな…



そう言えば、どうしてあたしは自分の足で歩いていないのかな?


プールの後は、


………あたしどうしたんだっけ?



思い出せない。



「俺はアズを部屋に置いてくるから」


藤の声だ!


やっぱりこの大きな背中は藤の背中だ。


落ち着く。朱音さんと会ったあたしは藤の近くにずっといたい。

離れたくない。



離れてしまったら、藤が居なくなってしまいそうで怖い。


あたしは藤が居なければ生きていけなくなってしまった。