「お風呂いいよ〜」


お風呂場から夏川さんが呼ぶ声が聞こえた。


あたしはいまだに藤の膝の上…



「藤降ろしてよ!!」


「どうして?」


「夏川さんが戻ってくる」


「いいじゃん、見せてやれば」



藤はあたしを放す気が全く無いみたい。


あたしは藤の上でバタバタ暴れて藤の上から逃げた。


「藤のバカー」


一発言ってやった。


もー
クスクス笑っているだけだなんて…


なんだか悔しい。



あたしは悔しい気持ちを全て流してしまう為にお風呂へ入った。


けどヤキモチを焼いてくれた藤が嬉しくてついつい顔が綻ぶ。


自分だけが好きだと思っていた。

藤は遊び感覚で付き合ってくれている思っていた。



あたしはこんなにも藤が好きなのに。



だけど違った。


あたしが藤が好きなように藤もあたしが好きだと思った。


自惚れすぎか…