紙ヒコーキに想いを乗せて




「あ。橘くん」


「おー藤森達じゃん」


賑わう廊下で会った橘くんは、周りに2人の女の子を連れていた。
他校の制服を着てるから、知らない人たち。


「奏太、この人達クラスメイト?」


「おう。あ、同じ中学だったヤツら」


どーもー、と甘い声で笑顔を見せるのは、少しばかりチャラい2人の女の子。


「じゃな」


ヒラヒラと手を振って去っていく橘くんと他校の子たち。


「意外だね。橘ってなんか大人なイメージあったけど、あーゆーケバい子といるなんて」


美希が言った言葉に茜も同意する。


「だね〜」


もちろんあたしも。
だって本当に意外だし。

でも、小夜ちゃんだけは何も言っていなかった。


「あ、ミスコン始まる!早くいこ!」


1日目の終了近くで、ミスコンが始まる。
美希は走り出して、他の2人も走り出す。
あたしは見事に出遅れて、3人の後ろ姿を見つめていた。


ミスコンの会場行けばあえるよね。


なーんて呑気に考えていると、誰かに腕を掴まれた。