「ほんとだ。」


橘くんは袋からラムネを取り出す。


「ふふっ」


「え、今の笑うとこ?」


「いや、なんかつぼっちゃって…」



今時ラムネ好きな人とかいるんだ。


「笑うなよな〜。せっかく一粒あげようと思ったのに」


「一粒?ケチだなー」


またしてもクスリと笑うと、橘くんも優しく微笑んで


「ほら、手出せ」


「あ」


言われるがままに手を出すと、ドバドバっとラムネがでてくる。



「多すぎー!」


「ははっ。大サービス」



橘くんって、淳平と一緒にいる割には静かな方だと思ってたけど、案外そーでもないのかも。

てゆーか、橘くんはあたしと淳平が付き合ってること知らないのかな?

めちゃくちゃフツーだし。


意外にあたし達のことばれてないんだよね。
まあ、恋人らしいことしてないっていうのも理由の一つなんだけど。


「藤森っておもしろいね」


「橘くんも、なんか意外なくらい明るいね」


お互いに笑い合って、ようやく来た電車に乗り込んだ。