電車に乗って、ガタゴト揺れながらケータイを開く。


見ると、小夜ちゃんから着信が二件。


アイツからは、ない…か。
まあ、当たり前だよね。
一方的に八つ当たりしたんだから。

……もう、空回りしてばっかで、あたし無理だ。
ヒナコの言うようには、なれないよ。



トボトボ歩きながら家に入る。



「ただいま~…わっ」



今目の前で起きている光景に、あたしはすごく驚いた。



「幸姉おかえり!」



弟の良太(りょうた)と、妹の笑香(えみか)が、家の中をドタバタ走り回っていた。