「幸~!ちょっと待ってよ!」


「ヒナコ」



いつものように駅の改札口を出て、歩き出そうとすると、友達のヒナコが駆け寄ってきた。



「おはよう」


「おはよっ」



ヒナコこと大江陽奈子は、あたしの親友で、よき相談相手。

高校からだけど、こんなに気の合って、一緒にいて楽しい子はヒナコだけだ。



「ねえ聞いてよ~彼氏がね?」



ヒナコには他校の彼氏がいる。

何でも、小学校の頃から両思いで、中学に入ってから付き合い始めたとかなんとか。


彼氏の話になると、すっごい幸せそうな顔したり、悲しそうな顔したり、怒ったり、百面相。



「まじありえないよね!?女の子と遊ぶなら私に言うでしょ?もー!」



朝からプンプン怒ってる。

でも、さっきからなんどもケータイを見てるのは、彼氏からの連絡を待ってるからだよね?