「はぁぁぁ……」



帰りの車の中、盛大なため息が漏れた。


私、ダメすぎる。


メール送ってまたシカトされたら嫌だし、電話してタイミング悪かったら嫌だし……。


だったら明日またチャレンジあるのみだよね。



「よしっ!!」

「何か仰いましたか?」

「い、いえ!! 何でもないです!!」



拳を作って思いっきり気合を入れたら、丁度赤信号で車が止まり、車内が少し静かになったせいか、思いっきり荒木さんに聞こえてしまった。


恥ずかしい……。


窓の外に目を向け、いつもの様にボーッと眺めた。


あっ、同じ学校の人だ。


いいな……デートかな?


あんなに肩寄せ合って歩いてるんだもん、カップルだよね。


羨ましいと思ったけど、その後ろ姿が微笑ましくて、つい笑みがこぼれた。


車が走り出しても、そのカップルから目を反らせなかった。


私も隆輝とあんなふうに歩け……えっ……!



「りゅ、うき……と、たちばな、さん……?」



見間違い?


ううん、隆輝を見間違えるはずない。


橘さんとだっていつも学校で顔を合わせてるのに、見間違えるはずない……っ。


何で?


何で、何で、なん、で……っ?


頭の中はその言葉で埋め尽くされていた。