お嬢様になりました。《番外編》

「海堂に思ってる事ちゃんと言えてる?」

「…………」



言えてない。


何も言えてない。


口で伝えるのが怖くて、気持ちを察して欲しいって思っちゃってる。



「海堂とゆっくり二人で過ごす時間をつくった方がいい」

「でも……」

「でもじゃない。 ちゃんと向き合わなかったら、すれ違わなくていいところですれ違う事になる。 そしたら余計辛い思いをするよ?」



玲の言う通りだ。


ただでさえすれ違いまくってるのに、これ以上すれ違ったら心が潰れちゃいそう。



「隆輝に二人の時間が欲しいって言ってみる」

「うん、そうした方がいい」



玲のいつもの笑顔にホッとした。



「いつもいつもごめんね」

「前にも言ったけど、ありがとうの方が嬉しい」



あっ……そうだった……。



「玲、いつもありがとう」

「葵が笑顔になるなら、いつでも力になるよ」



玲の優しさには感謝してばかり。


今回も助けられちゃったな。


玲が辛い時、苦しい時は私も支えてあげられたらいいな。